破れないシールを作るには?フィルム紙(ユポ)と紙の圧倒的な違い

破れないシールの作り方

破れないシールの鍵は素材選びです。紙素材のシールを使う場合は、圧力が加わると破れる可能性があったり、水滴でふやけるとさらに脆くなります。一方、ユポ紙などのフィルム紙は"伸びて力を逃がす"ため破れにくく、濡れても形状を保ちやすいのが特長です。

この記事では実際の破断を起点に、どういった場合にフィルム素材(Yupo)を使えば良いのかという判断軸を整理し、用途別の選び方と設計のコツを簡潔にまとめます。

破れないシール・フィルム紙のご相談

専門スタッフがあなたの用途に最適な素材・加工をご提案いたします。
フィルム紙(ユポ)・耐水・高耐久対応のサンプルをお送りします。

目次

1. 結論:破れないシールなら「フィルム紙(ユポ等)」、紙は"安く・映える"

破れにくさ・耐水性・長期耐久を優先するなら、合成紙系のフィルム紙(ユポ/PP/PET)が第一候補です。伸びによる追従性と耐水で、冷蔵・屋外・頻繁に触れる面で差が出ます。一方、紙は単価を抑えやすく、クラフトや和紙の風合いで"映える"表現が得意。短期・室内・見た目重視=紙長期・水回り・強度重視=フィルム紙と使い分けると迷いません。

下記リンクでは、紙素材を使った事例とフィルム素材を使った事例を記載しています。一方は紙素材なので冷蔵環境では破れる可能性がありますが、もう一方はその心配が一切ない事例となっています。

生きくらげ 普通紙使用

紙素材の事例はこちら

紙素材として一般的なミラーコートを使用しています。 商品棚での映えはありますが冷蔵環境ではふやけて破れる可能性があります。

詳細を見る
しおから Yupo紙使用

フィルム素材の事例はこちら

フィルム素材として一般的なYupo(ユポ)を使用しています。 冷蔵環境に置くことを想定し、冷蔵によるふやけを一切なくし破れないシールを実現しています。

詳細を見る

2. 素材基礎:構造の違いを押さえる

紙素材の基礎

紙はセルロース繊維の集合体です。白色度・発色が良く、箔やエンボスなど加飾の自由度も高いのが魅力です。また、紙素材の方が種類が豊富であり、その商品のブランディングに最適な素材を選定できるのもポイントです。食品シールの用途の場合は、開封前も後も常温保存で問題ない場合に推奨されます。

フィルム素材(ユポ/PP/PET/PE)の基礎

フィルム紙は樹脂基材の連続体。引張に対し"伸びて戻る"ため同じ力でも破れにくく、耐水・耐湿・耐久に優れます。冷蔵/冷凍の結露、屋外掲示、ボトルや物流など"濡れる・触る・曲がる"環境で真価を発揮。素地はマット寄り(光沢なし)のため、光沢をつける際にはラミネートなど別加工が必要となります。選択肢は紙より少なめ・単価は高めが注意点です。

3. 実写で比較:シールを同じ力で"破る"

同一の力加減で引き裂くと、紙は繊維が切れて裂けが一気に進行。フィルム紙はネッキングしながら力を分散し、破れにくさを維持します。写真では紙素材のシールとフィルム素材のシールを同じくらいの力で破った際の写真です。

紙素材のシールに関しては、縦線が入ってしまい完全にシールが破れてしまっています。しかし、フィルム素材に関しては、紙が変形する程度にとどまり破れることはありません。

紙素材シールの破断テスト - 使う2つの素材説明

黄色のシールが紙基材で青色のシールがフィルム素材です。

紙素材シールの破断テスト - 紙素材シールの説明

両手で真ん中らへんに破くような力を加えます。

紙素材シールの破断テスト - フィルム素材シールの説明
紙素材シールの破断テスト - 紙素材の破れ

力を入れた後、紙基材のシールでは真ん中に破れが発生しています。

紙素材シールの破断テスト - フィルム素材の破れなし

力を入れた後、フィルム素材のシールでは真ん中に破れが発生していません。シールが少し伸びた様な変形をしています。

紙素材シールの破断テスト - 結果の2つの説明
紙素材シールの破断テスト - 結果の紙素材の説明

シールの上にあるセパレートと呼ばれる部分と一緒に、シール部分も破れてしまっており、圧力に耐えられていません。

紙素材シールの破断テスト - 結果のフィルム素材の説明

シールの上にあるセパレートは破れていますが、シール部分には破れが発生しておらず、まだまだ使える状態です。

今回の実験では外圧を加え、紙素材とフィルム素材での変化を確認しましたが、外圧ではなく水滴の場合も同様の結果となります。紙素材ではふやけが発生して破れるのに対して、フィルム素材ではふやけが発生せず破れることに繋がりません。Yupo紙についての説明はYupoについてをご覧ください。詳細の説明をしております。

4. 用途別の選び方:紙が向くケース、フィルム紙が効くケース

紙が向くのは、室内・常温保存・表現重視の施策です。特にクラフト紙を使うことで風合いを表現できたり、和紙を使うことで独自のブランディング効果に繋がります。フィルム紙が効くのは、冷蔵/冷凍の結露、屋外、角貼りなど破れやすい部位、頻繁に触れる面です。"破れない"価値が売りになる現場ではフィルム紙を第一候補に据え、接着剤やラミ有無まで合わせて設計します。

項目 紙素材 フィルム紙(ユポ等)
耐久性 △ 裂けやすい ◎ 破れにくい
耐水性 × ふやける ◎ 結露に強い
コスト ◎ 安価 △ 高め
風合い・表現 ◎ 豊富 ○ 限定的
適用環境 室内・短期・常温 水回り・長期・屋外

5. フィルム紙(ユポ等)の注意点3つ【デメリットも正直に】

注意点は①単価が上がりやすい②銘柄/風合いの幅が紙より狭い③質感が基本マット寄り(特にユポ)の三つ。強い光沢はラミネートで補えますがコスト加算に。短期案件では割高感が出やすい一方、長期・水回りでは貼り替え頻度の低減で総コストが有利になるケースも多い——ここまで含めて判断しましょう。

フィルム紙選択時の注意点

  • コスト上昇:紙に比べ1.5〜2倍程度のコストアップ
  • 選択肢の制限:和紙・クラフト調などの特殊風合いは困難
  • 光沢調整:高光沢にはラミネート加工が必要(追加費用)
  • 印刷適性:専用インクや前処理が必要な場合あり

6. よくある質問(FAQ)

フィルム紙とユポの違いは?

フィルム紙は合成紙・樹脂フィルムの総称です。ユポは代表的な合成紙ブランドの一つで、多くの用紙メーカーが制作をしています。当社でももちろん取り扱っております。

光沢を出したい場合はどうすれば?

ユポのみではマット調となり光沢はありません。ラミネート加工をすることで光沢を演出することができます。ただし追加コストが発生します。

冷蔵・冷凍で剥がれるのはなぜ?

低温貼付・冷蔵冷凍用接着剤+適切な圧着条件を指定する必要があります。素材だけでなく接着剤の選定も重要です。詳細については、正しい糊の選び方をご確認ください。

小ロット対応は可能?

対応可能です。ただし数百枚の印刷と3000枚の印刷代金が変わらない可能性もありますので、要相談とさせてください。

家庭用インクジェットで自作できる?

合成紙対応用紙・機種が必要です。耐久性は業務印刷に劣るため、重要な用途では業者への依頼を推奨します。

まとめ:素材選びの判断基準

破れない・長持ち重視なら迷わずフィルム紙(ユポ等)を選択。コスト・風合い重視なら紙で短期運用。用途に応じた最適解を見つけることが、シール制作成功の鍵です。

破れないシール・耐久性重視の素材選びを無料サポートいたします

フィルム紙(ユポ)・耐水・高耐久対応の実物サンプルをお送りします。
専門スタッフがあなたの用途に最適な素材と加工をご提案いたします。

お問い合わせ