1. ユポ(合成紙)とは?紙とフィルムの"いいとこ取り"
ユポは主にポリプロピレン(PP)をベースにした合成紙で、耐水・耐湿・引張強度に優れ、破れにくいのが特長です。見た目や触感はマットで紙らしい白さを保ちつつ、紙よりも水分に強く、フィルムよりも筆記や印刷の親和性が高い"中間解"の素材。
ユポの耐水や耐久性をメインでご紹介している記事についてはユポ紙の基礎的なご紹介もご確認ください。
ユポの主な特長
- 耐水/耐湿、寸法安定性
- マットな高白色
- 破れにくい引張強度
- 筆記適性(グレードにより差)
- 印刷適性の良好さ
想定ラベル用途:冷蔵・冷凍向け食品、浴室・厨房、各種注意喚起ステッカー、屋外短期掲示
より"防水・耐久"の基本を広く押さえたい方は、あわせて防水ラベルの作り方もご参照ください。
2. ユポが向く用途/向かない用途(屋外・耐水の観点)
◎向く用途
- 結露・水ぬれが常態の冷蔵ボトル/パウチ
- 浴室・サウナ・プールなどの掲示/注意ラベル
- 厨房・清掃エリアでの手順ラベルや点検シール
- 屋外の短期〜中期掲示(イベント・工事現場の仮設サイン等)
△注意・向かないケース
注意すべきポイント
- 長期屋外(年単位)の耐候・耐光が必須 → PETやPVC+耐候ラミが安定
- 高温環境(熱源近辺)や強摩耗 → PETや特殊トップコート+ラミを検討
- ガソリン・強溶剤が直接かかる → インク・ラミ・糊まで含めた耐薬品設計が必要
しかし、屋外で使用を想定される際には”普通インキ"や"UVインキ"では適していません。屋外で使えるインキを使っているかどうかの確認が必須です。
3. 印刷適性と後加工(ラベル印刷の実務ポイント)
印刷方式
- UVフレキソ/UV凸版/UVオフセットで良好な結果
- HP Indigo・UVインクジェットは専用適正グレードを選定
- 可変印字:熱転写(TTR)対応グレードならシリアルや賞味期限も鮮明
- ダイレクトサーマルは一般に非推奨
後加工のポイント
- 抜き・箔・局所ニスは可能(版圧と温度管理に注意)
- 静電気で給紙傷が出やすいので加湿・除電を併用
- インキ・密着:素材面は表面処理/プライマーで密着を確保
- 濃色ベタは擦過キズ対策にラミ推奨
糊・環境への配慮
- 糊選定:結露・低温なら強粘アクリル、貼り替え前提なら再剥離、凸凹・粗面はゴム系も検討
- 環境差:同じユポでもグレード差が大きい(印刷・筆記・TTR適性)
- テスト刷り&実機貼付が最短経路
4. 仕様選定のコツ(厚み・表面・糊・ラミネート)
- 厚み:ラベル用途では80–150μm帯が扱いやすい。小瓶や曲面は薄手、平滑な掲示物は中厚で腰を出す
- 表面:マット無塗工が基本。写真意匠や擦れが気になる用途はラミネート(PP/PET)で耐擦過と発色を底上げ
- 糊:低温・結露→強粘、再掲示→再剥離、粗面→ゴム系。貼付温度と使用温度を必ず共有
- 仕上げ:水や薬品がかかる現場は辺部シール性のため、角R/フチ有り設計+ラミが無難
5. 【比較表】ユポ vs 紙・PP・PET(相対評価)
目安評価:◎=優秀、○=良好、△=注意、×=不向き
指標 | ユポ | コート紙 | PPフィルム(白) | PETフィルム(白) |
---|---|---|---|---|
耐水 | ◎ | × | ◎ | ◎ |
耐湿・寸法安定 | ◎ | △ | ○ | ◎ |
屋外耐候(単体) | ○(短中期) | × | ○ | ◎ |
耐熱 | △ | △ | ○ | ◎ |
印刷・発色 | ○(マット) | ◎ | ○ | ○ |
筆記性 | ○(グレード依存) | ◎ | △ | △ |
価格感 | 中 | 低 | 中 | 中高 |
注意:実際はインク系・トップコート・ラミの有無で耐性は大きく変動します。
6. よくある失敗とチェックリスト
失敗例
- 冷蔵ボトルで角から剥がれ → 角R+強粘+ラミで改善
- 浴室で擦れ・色落ち → UVインク濃度最適化+耐擦過ラミ
- 可変印字がかすれる → TTR対応グレード+リボン適合の見直し
チェックリスト
- 使用環境(温度・湿度・薬品・摩擦)
- 貼付面(材質・粗さ・曲面・清掃可否)
- 表面仕上(マット/ラミ・光沢)
- 可変情報の有無(方式/耐久要求)
- 想定寿命(屋内/屋外・短中長期)
7. 用途別ミニ事例
🥤冷蔵ドリンク
紙→ユポ+強粘+マットPPラミで結露時の端浮きが消失、棚戻り率も安定。
🛁浴室掲示
ユポ+再剥離糊で月次差し替えが容易に。糊残りも低減。
🏗️屋外短期サイン
ユポ+耐候ラミでイベント2–3か月を想定。長期はPETへ。
8. 発注時に伝えるべき仕様テンプレート
発注時の必須情報
- サイズ/巻取方向/ロール芯径
- 素材:ユポ(合成紙)/厚み帯
- 表面:素地 or マット/グロスラミ
- 糊:強粘/汎用/再剥離(貼付温度・使用温度)
- 印刷:色数、写真の有無、可変印字(TTR)
- 使用環境:水・結露・摩擦・洗剤/アルコールの有無
- 想定寿命:屋内/屋外、短期/中期/長期
9. よくある質問(FAQ)
屋外でどれくらい持ちますか?
インク・ラミ・環境次第ですが、短期〜中期(数か月〜約1年)が目安。年単位はPETやPVC+耐候ラミを推奨します。
手書きできますか?
油性マーカーは概ね可。鉛筆・水性は乗りにくい場合があるため、筆記対応グレードをご指定ください。
可変印字は可能ですか?
熱転写(TTR)対応ユポ+適合リボンで高耐久な印字が可能です。ダイレクトサーマルは一般に非推奨です。
食品向けの安全性は?
食品接触の可否はグレードで異なります。必要な規格票・証明書の範囲をご指示ください。
コストはどれくらいですか?
目安では紙<ユポ≒PP<PET。総コストは不良削減や貼替頻度も含めて評価ください。
一般的な厚みは?
ラベル用途では80–150μmが主流。小瓶・曲面は薄手、掲示物は中厚で腰を出すのが基本です。