1. まずは用語と前提(3素材の性格)
- ミラーコート:キャストコート系の非常に高光沢な表面。発色・黒ベタの締まりに強く、高級感・光沢訴求が必要なラベルで定番。インキ定着は良好だが、擦れキズや反射(グレア)には注意。濡れ用途は基本ラミ推奨。
- アート紙:グロス(光沢)~セミグロス域のコート紙の万能選手。写真再現と網点の安定、後加工のバランスに優れ、迷ったらまず検討したいベース。コスパ良・汎用力高。
- マットコート:反射を抑えた上品な質感。文字の可読性や落ち着いた色表現に強い。高級菓子・コーヒー・コスメなどのプレミアム感に好相性。擦り傷が目立ちやすいため、マットPP等の保護で質感と耐性を両立しやすい。→ 詳細は当社のマットコート紙ラベル素材ガイドも参照。
2. スペック&適性の横断比較表
目安ランク:◎=得意、○=可、△=注意、×=不向き(条件付きで可)
観点 | ミラーコート | アート紙 | マットコート |
---|---|---|---|
見た目の質感 | 強光沢/派手め | 中~高光沢/万能 | 低光沢/上品 |
色再現(派手・高彩度) | ◎(ベタ強い) | ○~◎ | ○(落ち着き) |
写真・網点の安定 | ○ | ◎ | ○ |
文字の可読性 | ○(反射注意) | ○ | ◎(反射少) |
擦れ耐性(無保護) | △ | ○ | △ |
耐水(無保護) | △ | △ | △ |
低温・結露(無保護) | × | △ | △ |
箔押し相性 | ◎ | ◎ | ○(要圧調整) |
浮き出し(エンボス) | ○ | ○ | ◎(陰影映える) |
PP・ラミ適性 | 必須寄り(用途次第) | 推奨 | 推奨(質感維持にマットPP良) |
QR/バーコード読取 | ○(反射要注意) | ○ | ◎(反射少) |
コスト感(相対) | 低~中 | 低~中 | 中 |
サステナ適性 | ○(FSC等選択可) | ○ | ○ |
注意:冷蔵・冷凍・油分・結露・摩擦が強い流通はフィルム系(PP/PET)や保護ラミの検討が安全です。
防水ラベルの作り方に関しては、防水ラベルの作り方もご参考に。
3. 印刷・後加工の相性(現場Tips)
印刷方式
オフセット/フレキソ/凸版/デジタル(液トナ・乾トナ・インクジェット)いずれも可。
- ミラーコート:高濃度ベタ・メタリック箔映え。乾燥・裏移り管理は丁寧に。
- アート紙:写真・グラデが破綻しにくい。網点・小文字の再現が安定。
- マットコート:反射レスで可読性最高。ただし擦れ保護にマットPP(orニス)を推奨。
後加工
- 箔押し:3素材とも良。ミラー/アートは光沢×箔でリッチ、マットはツヤ×ツヤ消し対比が効く。
- スポットニス/PP:ミラーはマットPPを重ねるとツヤ⇔マットの質感差で演出◎。
- エンボス:マットは陰影が出やすく、高級感を最小コストで演出しやすい。
追記:熱転写(TTR)印字が必要な場合は、TTR適性トップコートの有無を確認。
4. 用途別マトリクス(選定の近道)
用途/条件 | ミラーコート | アート紙 | マットコート | 備考 |
---|---|---|---|---|
常温・乾燥(菓子・加工食品) | ◎ | ◎ | ◎ | どれも可。ブランドトーンで選ぶ。 |
冷蔵(要結露耐性) | △ | ○ | ○ | PP/ラミ推奨。結露強ならフィルム検討。 |
冷凍(霜・低温) | × | △ | △ | 基本フィルム系。紙は前提工夫+保護で限定可。 |
油分(惣菜・ドレッシング) | △ | △ | △ | フィルム or ラミ必須。紙は推奨外。 |
高級菓子・コーヒー豆 | ○ | ○ | ◎ | マット×箔 or 凸版黒が王道。 |
コスメ・トワレ | ◎ | ◎ | ◎ | 光沢訴求=ミラー、上品=マット。 |
飲料(常温) | ◎ | ◎ | ○ | 水濡れあるならラミ必須。 |
曲面小容器 | ○ | ○ | ○ | 紙厚×粘着選定の影響大。 |
冊子・DM用ステッカー | ○ | ◎ | ◎ | QR可読性はマット有利。 |
5. 5ステップで決める素材選定(HowTo)
- 環境条件を固定:常温/冷蔵/冷凍、油分、結露、屋外有無。紙で危ういと判断したらフィルム系へピボット。
- ブランドの質感方針:ツヤで主張(ミラー/アート)か、上品に抑える(マット)か。
- 可読性と機能:QR/バーコード・法定表示の視認性が最優先ならマット優位。
- 後加工の主役:箔・エンボス・スポットニス…演出軸に合わせて素材の質感コントラストを設計。
- リスクに備える:擦れ・水分・温度に応じてニス/PPラミを前提化。小ロット実機テストで最終確認。
└ マットの質感設計は当社のマットコート紙ラベル素材ガイドも参考に。
6. 失敗しやすいポイント(チェックリスト)
注意すべきポイント
- 反射でQRが読みにくい(→ マット化 or 反射角に配慮/黒枠付与/サイズ確保)
- 冷蔵庫内の結露で紙が波打つ(→ PP/マットPP、またはフィルム)
- ラベルの擦れ傷が目立つ(→ ニス/PP、輸送箱内での摩擦を想定)
- 箔面の荒れ/抜け(→ 素材選定+版圧調整、細線は避け太らせる)
- 曲面での浮き(→ 紙厚・繊維方向・粘着を含めた一体設計)
7. FAQ(よくある質問)
写真の美しさを最優先にするなら?
アート紙が最も安定。ミラーコートは発色・ベタが強く"映える"一方、反射が強い環境では鑑賞性が下がることも。文字可読も重要ならマットにマットPPで保護が無難。
QR/バーコードの読取で最適な素材は?
マットコートが有利(反射少)。ミラー/アートでも可能ですが、反射角・最小セルサイズ・コントラストに配慮を。
冷蔵・冷凍・油分が絡む製品は紙で大丈夫?
基本はフィルム系を推奨。紙を使う場合はPP/ラミを必ず併用し、実機テストで剥がれ・波打ち・印字耐性を確認。
箔押しの相性は?
3素材とも良。ミラー/アートはツヤ×箔でリッチ、マットはツヤとツヤ消しの対比が映えます。
擦れ対策の最小コストは?
まずはクリアニス。質感と耐性の両立はマットPPが鉄板。
コストを抑えつつ見栄えを出すには?
アート紙+クリアニスが王道。マット表現はマットPPで安定演出可。
熱転写(TTR)で賞味期限などを印字したい
TTR対応トップコートの有無を確認ください。素材よりもトップコート適合が重要です。
マットの詳しい注意点は?
擦れ・指跡・汚れの可視化をPPやニスで制御。設計詳細はこちらの解説をご覧ください。
8. まとめ:編集部の"使い分け"早見表
素材選びの早見表
- 光沢で押し切る・店頭で"パッ"と目立たせる → ミラーコート
- 写真・網点・バランス良し、迷ったら → アート紙
- 上品・文字可読・QR強、プレミアム感 → マットコート(+マットPP推奨)