1. 金シール=ホイル紙とは?構造・特性と「棚での視認性」の関係
金シールはホイル紙と呼ばれています。通常の紙素材(ミラーコートやアート紙)などの上に薄いアルミホイルを貼り合わせて作られている特殊な紙です。
ホイル紙の説明の前に、ミラーコートとは?アートとは?を知りたい方はシールラベルに使われる基本素材を徹底解説をご覧ください。
箔押しよりも安価な高級感演出
金シールは手頃に高級感を演出したい場合に非常に役に立つ素材です。
高級感を演出する際には、箔押しと呼ばれる後加工をすることが多いですが、
箔押しをするためには、箔を押すための金属の作成にコストが発生し・専用の機械の動力が大きく...と実はコストと手間がかかります。
一方で、金シールはそもそも用紙として用意されてありますので、通常の印刷と変わらずに必要な動力が全く異なります。
箔押しでワンポイントに金を入れるデザイン設計は間違いなく高級感を演出できますが、もう一つの方法として活用されるのが金シールによる演出です。
棚での視認性とアイキャッチ設計
金シールには光沢があり、強い反射をするので、棚前でのアイキャッチを期待できます。 金の全面ベタは反射ムラや情報埋没の原因になりやすいので、点・線アクセントでメリハリを作るのが定石です。
- ・黒、濃紺、深緑など金に対して読みやすい色を使う。
- ・金ベタは目立たせたい導線だけに限定し、残りは抜きや模様で軽くする。
- ・店舗照度300〜1000lx、撮影照明、太陽光の3条件でモックを確認し、可読性をテストする。
試作段階で簡易什器に貼っておき、競合品を横に並べて写真を撮ると「どこを光らせるべきか」が可視化されます。
2. ツヤ金 vs ツヤ消金:見え方・ブランド印象
金シールには、ツヤを出したままのツヤ金と、ツヤを消した消金(けしきん)の2種類があります。
見た目の違い(定義と特徴)
ツヤ金は鏡面反射で「点滅する輝き」が得られ、限定感や祝祭性を一瞬で伝えられます。面積を絞ったアクセントやエンブレムに特に有効です。
ツヤ消金は光を拡散させるため粒子の陰影が出やすく、工芸的で落ち着いた印象にまとまります。広面積でも情報を邪魔しにくく、常設SKUや高価格帯の定番品に向きます。
ブランド印象×カテゴリ適合表
各カテゴリでもし金シールを使うなら...推奨する使い方やポイントをまとめました。
| カテゴリ | 推奨 | 狙い・ポイント |
|---|---|---|
| 和菓子・出汁・調味料 | 消金 | 素材感を崩さず高級感を足す。木目や和紙とも馴染む。 |
| 贈答/限定販売 | ツヤ金アクセント | 限定性と祝祭性を明確化。写真映えを優先。 |
| 酒類 | 消金 | 落ち着きを表現できる。工芸的な印象UP |
| 酒類(定番・常設) | ツヤ金 | 器量感を担保しつつ情報を読みやすくする。 |
| ギフト菓子 | 写真映え重視ならツヤ金、静かな高級感ならツヤ消金 | 撮影媒体と店頭導線どちらを優先するかで決定。 |
デザイン実務での使い分け
- ・ツヤ金は点・線・アイコンに限定し、ベタ塗りを使用したデザインは控える。可読性が落ちるため。
- ・金×黒or濃紺は強コントラストとなり可読性UP。
- ・撮影時には、ツヤ金の場合は斜光やディフューザーを使い、消金の場合は寄りカットで質感を訴求。
3. 金ホイルを使う場合は、印刷会社への依頼がおすすめ
上記のように金ホイルを使う場合は、デザインの注意点や利用用途に合わせたホイルを選ぶことが大切です。ホイル紙を考慮していないデザインでは印刷事故が起こり全てやり直しになるケースがあります。
デザインをお持ちの場合は、印刷会社へ金ホイルでこのデザインをシールラベルにすることができるかを聞いてみましょう。 親切な印刷会社の場合は、そのデザインでホイル紙に印刷できるかどうかを無料で診断してくれると思います。
ホイル紙を使う場合は、どこを金色で目立たせて、何の内容を可読性良く表示されるかを正しく選定させることが重要です。
上記デザインは弊社が制作をしました。焼肉のたれの文字部分は視認性が最も良くなるように高コントラストとなる赤色を使って、その周りを黒色で囲んでいます。成分表示である文字部分も黒色で表現して、文字を潰してしまわないように最大限の配慮をして印刷しています。
最初からホイル紙を使うことを前提にして、他にはない焼肉ラベルを作りたいというご要望でした。印刷会社がデザインから印刷まで行うことで実現できた事例だと思います。
金シールの他には銀シールがあります。銀シールに関しては、銀シールについての解説をご覧ください。
4. 使用上の注意(実務チェックリスト)
ホイル紙は高級感の演出やデザインを際立たせる効果がありますが、注意点がありますので、最後にご説明します。
ホイル紙は紙素材の仲間となりますので、耐水性や耐久性は弱い素材となります。水を含みやすい環境ではシールが破れてしまったり、強く擦れる環境ではシールが剥がれる原因となります。
耐水性を求める場合は、フィルム素材を使う方が良いので、耐水素材-ユポのおすすめをご覧ください。
棚前テストと併走できる制作パートナーを
金ホイル紙は設計の自由度が高い分、工程間の連携が成果を左右します。当社では素材提案→試作→量産まで一貫対応。 デザインデータが固まっていなくても、用途ヒアリングから最適仕様をご提案します。