自作の“見えないコスト”を分解する(式+チェックリスト)
自作シールの原価は「用紙+インク」で終わりません。担当者の時給×作業分数、不良によるロス、定期的に発生する機材メンテまで積み上げて初めて実コストです。以下の式に自社の数字を当てはめるだけで、現在の内製単価を即算出できます。より細かな費目の洗い出しはシール制作コスト最適化戦略にもまとめています。
内製の見落としを洗い出すには、実際の準備フローを分数単位で書き出すのが近道です。下記チェックが「YES」寄りなら、自作コストは想定以上に膨らんでいる可能性があります。
- 毎回の面付けテンプレ調整に10分以上かかっている
- 角丸・小判のカットに時間がかかり、やり直しが出やすい
- 小さな文字やロゴで潰れが出て再印刷することがある
- 色ムラ/にじみが月1回以上の頻度で発生する
- 印刷後の台紙剥がしや手切り作業に相当な時間を割いている
- 写真・ロゴの解像度調整に毎回時間を奪われている
印刷会社の現場でも上記のような計算は行うのですが、計算は手間のかかる作業であり、意外と高くつくことが分かっているからです。
50/100/300枚のモデルケース比較(実額イメージ)
以下は、50×50mm / A4に20面付けを想定したシミュレーションです。人件費は時給1,500円(=25円/分)、印刷とカットは1シートあたり3分、準備10分、不良率5%、固定費按分100円、バッファ+1シートで算出しました。右端は当社の料金ツール(光沢紙・常温用途)で同条件を入れた概算です。
枚数 | 必要シート数* | 材料費 | 人件費 | 不良+固定 | 自作総額 | 自作@単価 | 当社概算 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
50枚 | 4枚 | 160円 | 550円 | 108円 | 818円 | 16.4円 | 約2,145円 |
100枚 | 6枚 | 240円 | 700円 | 112円 | 1,052円 | 10.5円 | 約2,301円 |
300枚 | 16枚 | 640円 | 1,450円 | 132円 | 2,222円 | 7.4円 | 約2,925円 |
* バッファ1シート込み。 ** 50mm角/光沢紙/シート仕上げ/2025年9月シミュレーション値(概算はツールで変動)。
50枚では人件費比率が材料費の約4倍。時間を短縮できないと単価が下がらない。
準備10分+シート3分×6で合計28分。時給が2,500円になると単価15円超に。
自作単価7.4円 vs 当社概算9.8円。外注との差額は作業時間1.2時間相当。
読み解きポイント:枚数が増えるほど自作単価は下がる一方、外注も段階的に単価が下がります。差額が「担当者の時給×節約したい時間」を下回るなら、早めに外注へ振り分けるのが合理的です。
外注が有利になる“分岐点”を一発で出す簡易式
私たち印刷会社が伝えたいことは、確かに内製でシールを作るのは良いと思うのですが、小ロットでも安くシールを作れる会社はありますし、小ロットでも当社のように安く提供している会社はあります。小売店企業様や飲食店企業様の本業にあたる時間を最大限にするためにも、印刷やシール制作はプロに任せていただくのが良いというご提案をしたいと思っています。
自作総額を算出
式に自社の時給・面付け・不良率を代入
当社概算
サイズと枚数を入力し外注総額を取得
差額÷時給を比較
差額が1時間未満なら即外注切替
“金額以外”の判断軸(品質・リスク・再現性)
コスト以外の判断材料として、高品質なプリンターでシールを作らない限りは、印刷のムラが発生したり、カッティング場所が合わなかったりすることは多々あります。コストを抑えて高品質なシールを作るサービスを当社では提供しておりますので、ぜひご検討ください。
品質・高見え
光沢紙+ニス・PPなどの後加工は設備差が顕著。店頭で“高見え”を狙うならプロ品質が近道です。
再現性
増刷時に色が変わると棚替えが難しくなります。データ管理と色管理を委託するだけでも工数削減につながります。
リスク回避
締切当日のプリンタ不調、不良発生時の予備確保など、オペレーションリスクを丸ごと外部化できます。
これで迷わない:切替チェックリスト(5項)
- 面付け〜印刷〜カットまで30分以上かかる
- 角丸・小判でカット品質が安定しない
- 小さな文字で読みづらいと言われる
- 同じデータでも色が毎回違う
- 台紙剥がしや手切りのストレスが大きい
今日からの具体的アクション(テンプレ付き)
すぐに試せる4ステップ
サイズを固定し、入稿テンプレートと早見料金表を組み合わせると判断スピードが一気に上がります。
- STEP 1
- サイズを1つに固定(柄だけ差し替え)。
- STEP 2
- 入稿テンプレ(AI/PDF・アウトライン済み)をダウンロード。
- STEP 3
- まずは50〜100枚で試作 → 店頭/社内承認 → 同条件で増刷。
- STEP 4
- 価格は ツール で即確認し、「金額×納期×手間」で意思決定。
少量多品種を毎月まわすお客様は、「柄差し替え+概算ツール」運用で企画会議の判断を半減。ABテストにも横展開しやすくなります。より踏み込んだ回し方は多品種小ロットシール500枚から展開で詳しくご紹介しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 自作のほうが安そうですが、どれくらいで外注が有利になりますか?
A. 準備10分+1シート3分の現場なら100枚前後で逆転するケースが多いです。時給や角丸の有無で差が出るので、上記の式に各社の実数を入れてください。
Q. 試作だけお願いできますか?
A. はい。常温×光沢紙×シート仕上げ(可変印字なし)で10枚から承ります。初回はツールで概算を確認のうえ、備考欄に「試作希望」とご記入ください。
Q. 冷蔵・冷凍や耐水・耐油にも対応していますか?
A. 本記事のシミュレーション対象外です。仕様別の素材・糊・ロール仕上げが必要な場合は、お問い合わせから個別にご相談ください。